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2007年11月16日 (金)

千両の赤い実の謎?

 例年よりも暖かい秋で、11月も半ばを過ぎたという実感が湧かない。紅葉も早いところもあれば、銀杏並木など青々している。家の裏へまわったら、千両が赤い実をびっしり付けていた。
  ことしの千両の実は、例年より粒揃いで色鮮やかである。暮れには、正月飾りに、近所の人にお裾分けするのが例年の習いだが、こんなに早く色づくと、それまでにヒヨドリに食べられてしまわないか心配になった。Senriou_002_2

 わが家は千両に適した土地なのだろうか。万両はあまり育たないが、千両は鳥が落とした糞の種から実生のまま、よく生えてきて実をならす。「万両がダメで千両がよく育つのは、わが家の貧乏家計を鳥たちが察して、せいぜい植物の千両でもと、恵んでくれるのだろう」と冗談をとばす。
 同じ住宅地で地質や日光の当たり方もほとんど変らないのに、なぜかわが家だけは千両が実生でよく生えて育つ。近所や知り合いに羨ましがられて、年の瀬になると揃って正月飾りに貰いにくる。
 花屋で買えば、縁起ものだけに結構な値段がする。数年前、妻と二人とも風邪をこじらせて肺炎になり、年の瀬まで高熱に枕を並べていた。それでも、暮れの30日になると、「千両をいたたげませんか」と、近所の人が次々に訪れねので、寝てもおれなかった。
 正月飾りの縁起ものだから断るわけにもゆかない。妻は高熱に起きれないので、症状が軽かった私が代役をつとめたが、生来が不器用だから、実の付いた枝を切るのに苦労した。

 最初は家の東側の塀際に群をなしていた。鳥の糞から実生で出てきたもので植えたものてではない。5年ほどしたら、南側の裏庭の隅に新しく千両が叢になって生えてきた。
 かつて各家庭で燃えるゴミは自家焼却する時代に、ゴミ焼却器を備え付けた場所である。焼却した灰は、そのまま近くに捨てていた。市がゴミ回収を定期的にするようになって、焼却器は不要になり、そのまま放置した。破損して鉄くずだけになり、いまはその残骸も残っていない。
 小鳥たちは、千両の実がなれば、それを餌さにする。その習性で千両がよく育つ土地を知っているのだろうか。焼却して捨てられた灰は立派な肥料である。そして、長い年月の間に落ち葉の吹き溜まりになって、天然の肥料となる。千両が育つ適地であるのを鳥たちは心得ているとしか思えない。
 東側の塀際に叢をなして、毎年、実のならし続けた千両は、すでに古木になったのか、赤い実の鮮やかさが年ごとに薄れてきた。南側の焼却器跡に生えた千両は成長が早く、実の色も美しく、粒も大きい。
 昨年から"選手交替"で、正月飾りにはもっばら南側の千両を使うことにしたが、今年はまた一段と木が大きくなって、赤い実も見事である。

 先日、表の道路老に面した塀際の落ち葉を掃いていたら、寒椿の樹の根元近くから千両が生えているのを見つけた。まだ幼木だが、ちゃんと可愛い実をつけていた。薄い赤味をおびていたが、鳥たちは寒椿の蜜を吸いによくやってくるので、糞を落として、第三の千両に備えているのかと思った。
 鳥たちには、そんな計算はなく、人間が勝手に考えだした理屈だと思うが、もう3年もすると立派に成長するかもしれない。ただ、植木屋は、千両のような雑木は嫌うので、庭の手入れのときに切ってしまうかみ知れない。
 庭の隅でこっそり赤い実をつけてこそ千両の値打ちがある。大きな樹がある庭のある表舞台に、しゃしゃり出るのは己の文をわきまえない、と植木屋は邪険に扱うのも、なんとなく理解できる。
 万両の樹がよく育たないのは、植木屋が適当に切ってとしまうからではないかと、やっと気づいた。恐らく、近所の家で「うちは千両が育たない」と嘆くのは、植木屋にこっそり始末されているのを知らないからだろう。
 さいわい我が家は、裏を他所の家よりも広くとってあるので、千両が場所を替えては、次々に生える余地があるからだろう。植木屋も、目につく表庭とは違って裏庭には、ほとんど手をださない。
 何年ぶりかに、わが家の千両の赤い実の謎が解けた。

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コメント

千両のはなし興味深い読ませていただきました。ところで

>かつて各家庭で燃えるゴミは自家焼却する時代・・・市がゴミ回収を定期的にするようになって

というのはいつの時代なんでしょうか? こういうのを書いておかれると、歴史資料としての価値が出てくると思います。

投稿: 本筋ではありませんが | 2008年2月 9日 (土) 23時10分

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