民主党よ、小異を残し大同へ
道路特定財源の一般財源化を明言した福田首相の提案に対して、民主党は本年度からの実施を迫って拒否し続けている。一般財源化は、道路だけを優先する「土建国家」から福祉、環境へと国の在り方を転換する高度の政治タイミングである。
ガソリン値下げにつながる特定財源の暫定税率撤廃は、国民の共感をよびやすく、即時実施は望ましいが、現実的には難しく、法律の起源切れで4月から値下げになっても、衆院の再可決で1カ月後には元に戻ってしまう公算が大きい。
民主党は、最値上げの国民の反発に乗って衆院解散に追い込むと勢いこんでいるが、そう簡単に計算通りにはゆかない。むしろ、福田首相が党内から孤立しながら決断した一般財源化の提案も流されて、元の木阿弥に戻ってしまう。道路族議員の跋扈、土建国家からの脱皮という"大魚"を逃して国家再生のチャンスを潰す結果ともなりかねない。
この際、民主党は目先のガソリン税率値下げという"小異"(小さな違い)は残して、政官業癒着の象徴とされる道路特定財源の撤廃という"大同"(国家天下が栄えるためになること)への道を選択すべきである。
一般財源化の実施が来年度に延期されても、特定財源化を執拗に主張する自民党道路族議員によって有耶無耶にされてしまうよりも、はるかに有効である。国民には、特定財源化や一般財源化という問題は理解しにくく、とかく目先のガソリン値下げに目を奪われがちだが、その点、問題の本質を国民に理解させる努力をすべきである。
道路特定財源の無起動きわまるムダ遣いや、国土交通省から天下った公益法人への随意契約による割高な工事発注など、政治と利権の構図を国民の前に暴いたのは、民主党の功績である。
暴くだけでなく、利権誘導政治を当然のごとく長年続けてきた自民党道路族議員の跋扈を阻止、「道路特定財源」の暫定税率という腐敗の構造を解体しようと動けたのは、民主党が参院第一党という存在が大きかった。
野党の国会活動のなかで、いままでも不正を暴いたり、国民に訴えたことはあったが、国会劇場のショーだけに終わるケースが少なくなかった。だが、こんどは違う。「ねじれ国会」といわれようが、自民党の勝手気ままは許されなくなった。参院における民主党の優位がなかったら、道路特定財源問題は頬かむりされたまま、10年先までムダ遣いと腐敗の構造がだれにも咎められずに続いただろう。
年金問題をはじめ、防衛省不正など、一連の問題はすべて同じである。だからといって、勢いに任せて「なんでも反対」の野党体質への逆戻りは国民の期待を裏切る。
福田首相が、小泉、安部内閣でも不発に終わった「一般財源化」を与党や閣議にもかけず抜き打ち的に緊急発表を決断した裏には、民主党の同調への期待が隠されていただろう。それを口にはしていないが、野党の合意が得られなくても、一般財源化は実現すると明言している。
自民党内は、いまだに首相の真意を計りかね、伊吹幹事長は来年のことは分からない、税制改革のときに合わせて議論すればよい、と首相の「一般財源化」提案に冷ややかである。
川中島合戦で上杉謙信が武田信玄に「敵に塩を送った」故事にならつて、民主党小沢代表も党内で孤立無援の福田首相に対して「協議の応ずる」姿勢をみせるぐらいの雅量があってもよい。せつかくの首相決断を空文に終わらせないための党内説得も必要だろう。
民主党が08年実施にこだわって、すべてを無にするのは、特定財源の延長を策する自民道路族議員の思う壷である。1年にこだわり過ぎて、チャンスをみすみす潰すのは、国民のためにも不幸である。
万年野党といわれたかつての社会党とは違い、参院第一党としての責任のある民主党は、ときには妥協、名を捨てて実をとる戦略をこなして、国民が信頼する責任政党に成長しなければならない。
その意味でも、こんどの「一般化財源」への対応は、成長への糸口がつかめるかの試金石ではないだろうか。
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